QuadTone RIPのプロファイル作成の続きです。
(1)はこちら。
(1)で作成したプロファイルのたたき台を使って、グレースケールのチャートを印刷し、微調整します。
7. グレースケールのチャートで試し刷り(色味調整)
ファイルは QTRIP2.5/CurveDesign/Images/21step.psd です。
Photoshopで開くと、カラープロファイルが埋め込まれていないけどどうする?というダイアログが現れますが、そのままカラーマネジメントなしで開きます。
高さが約5cmの画像なので、Photoshopのプリントダイアログで位置を変えれば、A4用紙1枚に6個印刷できます。
QuadTone RIPのダイアログのCurveのプルダウンメニューに、作成したプロファイルの名前が載っていない場合は、一旦Photoshopを再起動する必要があります。
印刷して充分に乾燥させ、色味を目視で観察します。
LIMIT_LC
LIMIT_LM
この二つで色味を調整します。
これらの数値を変えてはプロファイルをインストールし、21step.psdを再度印刷してトライ&エラーで好みの色身になるように合わせ込んで行きます。
色の転びが大きくて調整しにくい場合は、テキストファイルのベースをライトシアンとライトマゼンタを使わないwarmのものにしてたたき台を作り、少しずつLIMIT_LC、LIMIT_LMの数値を増やしながら調整するとよいと思います。
BOOST_K
黒100%の部分の濃度を調整します。濃度が低い(黒が浅い)ようなら、BOOST_Kの数値を増やして黒を濃くすることができます。インクジェット専用でない水彩紙の場合、BOOST_K=100近くにするとインク量が多すぎてにじむことがあるので、50前後で試すとよいです。。
GRAY_HIGHLIGHT
GRAY_SHADOW
ハイライトとシャドウ部分の明るさを調整します。標準値は6で、数値を大きくすると明るくなります。
グレースケールの濃度調整はこの後で行うので、ここでは6のままにしておきます。
カラーマネジメントに詳しい人は、目視で確認するというあいまいな測定方法で調整することに驚くかもしれません。
でも、モノクロ写真のトーンは各個人の好みに依存する部分が大きく、紙の白さやテクスチャに合うかどうかという部分もあるので、測色器を使っての定量評価は逆に難しいのではないでしょうか。
また、モニタとプリンタのカラーマッチングを完璧に取ってあれば、モニタ上で調整したトーンがそのままプリンタで出力できるはずでQuadTone RIPは必要ないとも言えますが、そこまでするための投資は小さいものではなく、また家庭用プリンタの性能やインクのばらつきなども考えるとなると、誰でもできることではありません。その点において、QuadTone RIPは純正ドライバでは難しかったモノクロ写真がいとも簡単に得られ、添付されているプロファイルを使うだけでもほとんど事足りるくらいです。
一歩踏み込んで、自分の好みに合わせてプロファイルを作るときは、トライアンドエラーの手間はかかりますが高価な機材を使わずとも家庭用フラットベッドスキャナと手書きでプロファイルを作れるという手軽さがあります。これで充分ではないでしょうか。
8. グレースケールのチャートで試し刷り(グレースケール調整)
この項目で、グレースケールが正確に再現できるように濃度を調整します。
色味の調整をしたプロファイルを使って21step.psdを印刷し、スキャンします。カラーモードはLabにします。
あらかじめ、画像に少しぼかしをかけおいて、ピクセルのばらつきを少なくするとよいです。
これが、例えば
となったなら、半角スペースで区切って
LINEARIZE=”100 72 56 46 38 33 30 27 25 22 20 18 16 15 13 11 10 7 5 3 1″
とします。
再びプロファイルをインストールして21step.psdを印刷して調整結果を確かめます。スキャンして同じように測定してほぼ5刻みで輝度Lが変化していれば、調整は完了です。もしまだズレがある場合は、LINEARIZEの数値を調整してみてください。
また、トーン全体を明るめに、または暗めにする場合はPhotoshopのレベル補正でガンマ(中央の三角マーカ)を調整し、その値をGRAY_GAMMAに設定することでも調整できます。
これでプロファイルができました。